販売管理 概要1

※私は営業の実務経験はないので、その前提でお読みください

分かりにくい用語に慣れていくには

販売に似たコトバとして、例えば下記のような種類があります。
営業、販売、受注、出荷。
この4つ、少しずつ意味が違います。

販売を少し掘り下げつつ、更にその周辺を含めると、日本語としては何となく意味が分かるけども、正確に分かってるかは自信がなさそうなコトバが多く並びます。
在庫引当、在庫ロック、売上、約定、振替、直送、返品、カスタマーサービス、品質保証、市場調査、需要予測、販売計画、販売予算、・・。

初めて聞くなら、眠気を感じて当然だと思います。

販売管理に限った話ではありませんし、業務系に限った話でもない、世間の様々な学問で、「ある側面では同じ意味、狭義では同じ意味、だけど厳密には違う」みたいなコトバが多いです。
こんなの、一つ一つの意味を理解し、暗記していくのは大変ですし、応用も利きません。

「読み物」で流れや雰囲気を掴み、自分なりに原理原則にたどり着いて頂くことが最適だと思います。

営業活動とは

『営業活動』と単純に言ったとき、聞き手のバックボーンによって違う意味に受け取ります。
営業担当者であれば、自分自身、自部署の仕事とイコールに感じるかも知れません。
経理関係者であれば、営業部署の仕事だけでなく、生産や購買など、本業の事業全てと捉えるかも知れません。
業(なりわい)を営(いとなむ)なので、どちらも正しく、時と場合によって使い分けられています。(例えば、決算書では後者)

本記事を含め私の記載範囲では、注釈がない限り前者(営業部署の仕事)を指していきます。
業務系を考える時、単純に頻度が高いからです。

バブルの頃は、「造れば売れる」という時代もあったらしいです。どこまで信じてよいか分かりませんが。

開拓していく営業

営業は花形部署と言います。
古い表現かも知れませんが、私は今も変わらず営業が花形だと思います。

まず、システムの場合を見てみます。
高くて使いにくく、拡張性の悪いソフトってありますよね。不思議と売れてます。
高額な人月単価で開発して貰ったはずなのに、残念な仕上がりのシステムって減らないですよね。その会社、不思議と次の案件を抱えています。
優秀な(少なくとも結果を出す)営業が売り込み、成約しているからです。
真の価値が多少低かろうと(語弊を生じさせるなら申し訳ない)、少々の大げさな表現を厭わず、お客様の購買意思を固めさせることが出来たら勝ちです。
月額/年額保守費とか、追加ライセンス費用とか、改修案件とか、巧妙に自社に属人化/属社化させるとか、収穫期へ移行するチャンスです。

自社の売りに自信があるなら、単価を上げた訴求を行っていくでしょう。

もし、営業が残念だったら。
本当に価値あるソフト、素晴らしい開発力を持っていても、購入者と結びつける事が出来ません。

では、製造業の営業はどうかというと、基本は同じになります。
勿論違うこともあります。ソフト/システムの導入は、「失敗の明確な定義がない」のに対して、製造業ではありますので。

同じなのは、「お客様と製商品を結び付け、お客様にその価値をご納得頂く。」という基本の部分です。
システム開発会社もたくさんありますが、製造業の法人数は桁が違います。

製造業 情報通信業
売上 412兆円 60兆円
付加価値 73兆円 17兆円
企業数 385,196 44,194
事業所数 453,810 64,527
従業者数 8,925,749 1,663,836

売上と付加価値は平成27年度、他は平成28年度

出典:総務省統計局ホームページ http://www.stat.go.jp/data/e-census/2016/kekka/gaiyo.htm

また、システムの需要家も「やりたいこと」と「ソフトウェア」の適合度を測ることは難しいのですが、製造業でも相当に難しいです。

需要家が自ら、必要としている部品の特性を明らか(硬度○○~△△、ひっかき傷耐性□□、防腐食XXテスト合格、~)にしたとしても、それをリーズナブルな価格で実現してくれる企業を見つけるのは容易ではありません。
また、需要家の思いはもっと曖昧かも知れません。自社製品をどうにか、この品質まで高めたい、その実現に資する材料は何なのか---、と悩んでる方も多いと思います。
これに対して、「○○社の製品なら解決できるかも知れません」とソリューション提案できるのは、アナログな人間、即ち営業です。

営業は自社製品だけでなく、別会社、場合によっては競合他社の製品でも、マージンをつけて売ります。需要家を発掘した成果です。
需要家を発掘する為に、業界動向の把握は欠かせません。来年以降に伸びる生産物、この予測をして営業活動を行う事がニーズの掘り起こしになります。
BtoBの世界では、ネットで検索しても最安値など分かりませんので、需要家にとっての価値と、自らの原価、安定供給の体制、品質保証体制などを加味して、値付け(利益設定)が出来ます。

今は生産拠点、即ち需要家が中国・東南アジアというケースも多いので、業界動向というのは海を越えて考えていく必要があります。
場合によっては、自社も需要家の近く(その国)に生産拠点を構えないと原価が合わないということもあるでしょう。
発展途上国では、生活水準の向上に伴って必要物資も変わってくるので、それを見据えていち早く海外の生産拠点を作り、需要を作っていくということも多く行われていると思います。

このように、数字を作る営業、販路・用途を拡大していく営業は、まさに花形だと思います。

ルート営業

営業には、ルート営業と呼ばれるスタイルがあります。
これは、定期的に購入してくれる既存顧客へのフォローです。ご機嫌伺いも含みます。
自社の利益を守るために大事な仕事だと思いますが、やりがいを感じないという人も少なくないかも知れません。
やりがいを感じたいなら、お客様に事業拡張のご提案をしていってはどうかなとも思ったこともありますが、これは私の素人意見でした。
現状にご満足なさっているお客様に、敢えて冒険させるような無責任なことは出来ません。

昔、ルート営業を担当した二人の知人に、「営業さんって大変だね~」と話しかけたことがあります。
1人は、「簡単ですよ。車の運転が出来れば誰でもできますよ。決められた通りお客さん廻るだけですよ。」
1人は、「今週は毎日朝まで接待で、辛い。一国一城の主は酒も強いし、武勇伝も多いんだ。俺も酒は強いから体は堪えられるけど、こんな毎日が送りたい訳じゃない。入社面接で酒に強いとか言わなきゃよかった。」

ただただ、率直な想いなんだろうなと、私の中で忘れられない言葉になりました。

営業事務

いわゆる営業職ではありませんが、営業事務を担っている人たちがいます。営業の後方支援部隊ですね。
システムに触れる機会が多いのは、この営業事務の人たちになります。

営業が新規受注を取る際に、出荷可能な在庫があるかどうかをチェックしたり、出荷可能になるよう手配(生産依頼など)を行ったり、出荷手続きを行ったり。
他にも、営業担当を全般的に支援をします。

1人の営業担当に1人の営業事務がつくこともあれば、数人の営業担当を1人の営業事務が支援する、といった形もあるようです。

非常に広い仕事をする必要があるので、効率化の観点から一部の業務を「受注センター」「受注管理部」「カスタマーセンター」といった専門部署が担う場合もあります。
専門部署を新設する場合、専用のシステム開発が行われることもあります。
事業の規模、儲かり具合、大変さ具合などで、ケースバイケースです。

製造業でBtoBの世界では、需要家も「生産設備」を購入しています。これは概ね高額です。借入金で購入するケースが多いと思います。
つまり、『ある製品シリーズ』を柱に事業活動を続ける訳なので、繰返し生産を行います。繰返し生産に必要な原材料を納める訳なので、定期的に購入してくれるお客様も多いです。
(試験的に購入頂くケースもあるし、一度納めたら1~2年は持つから次の注文時期が読めない、というケースもあります)

ユーザー企業の皆様、自社の「営業」が何人いて、社員の何%を占めているか、ご存じですか?
私の感想は、「もっと多いと思ってたけど、意外と少ないんだな」でした。

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