購買業務 概要

製造業における購買と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。

信用取引 売掛金と未収金、買掛金と未払金でも記載した通り、購買する内容は多くの種類があります。
その中でも、メインとなるのは本業を担う「仕入」です。

仕入も、製造目的(原材料仕入)と販売目的(商品仕入)に分かれますが、製造業の話を基本としていきたいので、原材料仕入のほうから書いていきたいと思います。

何故、仕入れなければならないのか。
当然ながら、必要としている人がいる為です。
製造目的な訳なので、製造部隊、製造部課が必要とします。

では、製造部課が直接、必要な分だけ発注するかというと、それは非効率です。
そもそも、必要な分を算出することも一苦労です。
多品種少量生産の事業では、1つの製造部課(製造現場)で、一日に複数品番を製造します。

その製造ロットごとに必要量を発注する、というのはやってられません。
一日の全製造に必要な原材料を割り出し、集約して・・、というのも膨大な作業になりますし、何より製造時点で原材料が揃ってないような手遅れを招きます。

ではどうしているかというと、企業や工場の規模にもよりますが、製造課とは独立して調達担当を設けています。
工場内、あるいは製造部内で必要とする原材料の情報を、全て取り纏めます。

生産業務 概要1で記載した通り、予め生産計画担当が製造日程が作成しているので、MRPⅡの範囲により、工場として費消予定の原材料が算出されています。
個々の原材料について、工場内の最新在庫、日別の費消予定、発注済み未入荷、安全在庫(最低在庫)を使って、何月何日にどのくらい足りなくなる、という状況を把握します。
その分を発注するのです。

例えば不純物0.01%以下の超純水が7トン不足する、などを割り出したとします。
BCPの観点から、複数の仕入先に順番に発注していることもあるでしょうし、一度に10トン頼むと割引率が良い、などの要因もあるでしょう。
これらを機械的(予めマスタ管理)、人間的(目で見る)に判断して、仕入先を決定します。
内部統制の観点から、仕入先の決定にも承認フローが必要です。(発注者の親戚に割高で頼むとか、裏でキャッシュバックとかが発生しないよう)

発注したら、翌日に届けてくれるようなモノは限定的です。
仕入先の在庫がなければ、あるいは先方が受注生産の対象品だったら、工場に届くまでのリードタイムが長くなります。
海外から輸入する原料であれば、もっと時間がかかり、更に納期遅延も珍しくありません。

従って、マスタ管理(購買マスタ、発注マスタなど)の中で、原材料の品番・仕入先・入荷工場(自社や外注先)ごとに、リードタイムを設定しておく必要があります。
原料によっては受入時の検品に時間がかかるものもあり得ます。それもリードタイムに加味します。

発注の方法は、色々な方法があります。
①仕入先のWeb受注システムに登録
②自社の発注システムから、メールやFAX
③自社の発注システムから、電子データ交換
④Wordや手書きで発注書を作り、FAX

私が知っている限り、結局は下記いずれかで決まっているように思います。
(1)関係の強い方がやり方を決める
(2)片方が便利なシステムを持っていれば、それを使う

関係は一般的に、発注側が強いものです。
但し、こちらが年間1億円を発注する側だとして、同じ取引先が顧客として年間10億円購入してくれる場合もあります。
都合のよいコトバですが、ケースバイケースですね。

現実問題、メールは気づかない事がある、電子データ交換はハードル高い、BoBで受注システムを持っている企業は多くない、結果として何がしかのFAX発注が多いのではないかと思います。

FAXをシステムが支援するとしたら、下記のようなことでしょうか。
a.画面からの発注操作により、自動でFAXを送る
b.画面からの操作により、FAX送信用の印刷物を作る

システム対応がa.の場合、マスタ管理にて原料毎にFAX番号、宛名などを事前設定する必要があります。

実際の入荷日、運び込まれた現物を検収します。検収の元ネタは、発注データから作り出す「入荷予定」と、場合によっては品質上の受入規格(基準)になります。
検収により、会計システムへと仕入検収(買掛金の計上)が行われ、在庫データの増が行われます。

そのような手配の元、製造活動に支障の無いよう、原材料の調達・供給が行われ続けています。

そもそも十分に在庫を抱えていたら問題ないのでは、と考える人もいるかも知れません。
しかし、生産業務 概要3で記載した通り、過剰な在庫は間違いなく悪です。

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