生産概要の続きです。
製造した後は、品質検査です。
何をどうやって検査し、何をもって合格とするかは、予め決められています。
①検査規格
②検査項目
③試験法
④製品規格
⑤納入仕様書
各項目とも、企業文化によって漢字の組合せは多様(製品検査、規格検査、検査基準、検査項目、等)ですが、私は上記5つの呼称を使っていきます。
④製品規格は、対外的な公表値、あるいは営業やR&D部門、品質保証部門が取引先と交わした⑤納入仕様書に定められた特性値(水準/幅)となる。
例えば3Ghzで動作するCPUという製品に、簡単に当てはめると下記のようなイメージです。
①検査規格 | 完成したCPUで、チェックすべき内容一覧。 |
②検査項目 | 周波数チェック:3.2Ghzの動作に耐えられること、ピンの数:1155本であること、表の刻印:~ |
③試験法 | 試験機に装着し、~として3.2Ghzで稼働させる。稼働中、CPU温度が75度に達したら不適合とする。 |
④製品規格 | 3Ghz |
⑤納入仕様書 | 3Ghzで確実に動作することを確認し、納品します。ご注文は、1,000個単位でお願いします。納期は、~。ロット番号体系は、~。 |
顧客との約束値(公表値)を3Ghzとしているので、内部では3.2Ghzには耐えられることをチェックしロットぶれのリスク対応としている。
⇒検査を3Ghz基準でやってしまったら、ギリギリ合格のCPUでは危ない。もし顧客の環境では2.95Ghzでしか廻らなかったら、クレームを受けてしまいます。
このように余裕をもった検査をしているから、オーバークロックなんてものが出来るのだと思います。
3.5Ghzの選別落ちを3Ghzで売ったりとかもしているかも知れません。個体差は確実にでるという事実を踏まえ、管理していきます。
似た漢字だらけで眠くなりそうなので、品質はこの辺で。
頭を切り替えて、決算システムへの計上です。
・・・かなり切り替えますね。
企業内で価値あるものは、資産と呼びます。
中でも製品は、棚卸資産という分類に属します。
この棚卸資産、モノが動く時、モノの価値が増減するとき、その都度決算に計上する必要があります。(決算情報を最新にUPDATEする必要があります。リアルタイムではなく、月次バッチの方式もありますが、その更新ネタは毎回確保しておく必要があります。)
製品は、原材料から作ります。
人件費(労務費)も掛かっていますし、設備費(減価償却費)も掛かっています。
投入した分/費やした分だけ、資産価値を計算する必要がある、ということになります。
(1)製造原価の計上
製造工程の中で、投入した各原材料の数量は、記録しておきます。機械の測定器が使用量を出力してくれるかも知れません。製造指示書に手書きメモで記録しているかも知れません。
部品産業の場合はカウントがしやすいかとは思いますが、プロセス産業ではグラム単位、あるいはもっと微細な単位まで管理します。
そして、どのような製品が何個完成したのか。
その実績値をシステムに登録します。
労務費や設備費は、毎回の生産ロットで測るのは物凄く大変なので、月単位などで案分します。
計算方式に一定の妥当性があり、毎年継続する一貫性が保たれていれば、税務上もOKです。
原価計算(個別原価計算)の一部ですね。
(2)モノの移動
A工場からB工場へ、あるいは倉庫へと棚卸資産を輸送することがあるかと思います。
これは輸送費を追加で計上(場合によっては経費)すると共に、所在地や資産保有部署が明確となるよう、決算システムへと計上します。
(3)製造失敗の計上
残念ながら、ただ原材料を無駄にしただけの場合、その事実を計上します。
完全に失敗ではなく、規格外れの品質(不適合)で出来てしまったという場合、合格品よりも安い資産価値で計上します。
お客様によっては、安くすれば買ってくれるケースがあります。これは「特別採用」のイチ形態です。他にも、社内で原料として使えることもあります。
(4)グループ会社との売買
工場によっては複数の法人が同居していて、どちらも同じ企業グループである場合も多いと思います。
グループ購買力(ボリュームディスカウント)ということで、汎用的な原材料を共同購入している場合があります。
すると、製造活動で使う(持ってくる)たびに、法人間の売買が発生します。
余った分を返す(引き取ってもらう)場合も、反対の売買です。
製造時の計上は、上記の4ケースかと思います。(思い出したら、追記するかも知れません)
出来るだけ分かりやすくと思いながら書き残していますが、どうしても会計が絡んでくると、シンプルに書くのが難しくなってきました。
簿記は日商2級レベルでよいので、一度勉強してみると世界が広がります。
私ももう少し、分かりやすい言葉選びを頑張ります。