生産業務 概要3

前回の記事では、見込み生産において「製造課員が製造に入るまで」を書きました。

製造課員たちの製造行為そのもの、これはシステムであまり支援できない(業務系ではなく、制御系の領域)ので、現時点では簡単に書きます。(知識としてはあった方がよいので、また別の記事をたてます。)

要は、製造指示書の内容を、製法に従った手順・リスク管理で製造します。

組立産業では、購入時点の部品群から、出荷時点の完成品や部品に仕上げるまでの工程があります。
プロセス産業では、購入時点の原材料群から、出荷時点の製品(ドラム缶やコンテナに詰めるようなものや、成形した完成品や部品)に仕上げるまでの工程があります。
1時間で終わる製造もあれば、半日、1日、3日、一週間、一か月とかかるような製造もあります。
工場内の様子は、テレビのクイズ番組や特集を見ることや、工場見学を定期開催している企業もあるので参加する、がお奨めです。視覚から入るナマ情報は貴重です。

今までのお話は、見込み生産をベースに記載しました。
受注生産についても、基本は同じです。その名の通り、受注があった分だけ作る、というのが扱いの特徴です。
製品の特徴としては、下記のような内容があげられます。(必ずしも全ては満たしません)
①出荷頻度が少ない
②特定のお客様向け(特注品、と扱われることも)
③製造後の使用期限(消費期限)が短い
④依頼元から提供された製法で作るもの(自社が外注先)

一般論では、メリットは利益率が高い、在庫管理コストがいらない、確実に売れて不良在庫になることもない、など。
デメリットは、量産品に比べて不慣れ=非効率、受注から出荷まで時間(生産リードタイム)がかかる(早く持ってきて、というお客様からのプレッシャー)、などがあります。

余談ですが、BtoBの製造業には納入仕様書というものがあります。位置づけはBtoCでの取扱説明書に相当し、粒度と深さは製品特性に依ります。
汎用品(コモディティ)化した製品は自社サイトで公開するような配布形式もありますし、取引先ごと・製品(品番)ごとに作成することもあります。
受注生産品の場合は、この納入仕様書でも文章が増えるようです。受注から納入までの期限とか、在庫が余った時の扱いとか。
私は見たことがありませんが、他社には販売しません、とかもあるのかも知れません。あるいはその場合、独占販売権とかの契約を結ぶのかも知れません。

納入仕様書の話は、昨今の品質不正ニュースと絡みますので、また別の記事で取り上げます。

企業によっては、見込み生産と受注生産、いずれか片方しか行わないという形態もあるかと思います。
企業によっては混在していて、製品マスタで管理しているかと思います。

これらを考えるとき、自然と「過剰在庫は悪」という感覚を持たなければなりません。
基礎知識ともいえるので、自分の言葉で説明できるようになっておきましょう。

①在庫は保管費がかかる。倉庫の場所を使う、倉庫の空調を使う、棚卸でカウントする、製品によっては定期的に品質劣化がないかチェックする。
②在庫品には、金利がかかっていると考える。無借金経営の会社でなければ、運転資金は借入金がある。在庫品を作らなければ、その分を借りる必要が無かった。
③在庫品には、金利のほかに、営業利益率分の負担があると考える。1年間売れ残ったら、1年分の営業利益率分が取り損ねたと考える。
(1年も動きがなかったら、長期在庫・不良在庫として、相応の引当金を積み上げることが一般的。評価損のイメージ。)
④製品は使用期限(消費期限)があるものなので、不良在庫化し、廃棄処分となる可能性がある。
⑤処分は、棚卸資産の減耗が発生するので稟議が必要。
⑥処分は、会計担当者に立ち会って貰うなど、現に処理したことの証明が必要。棚卸減耗は悪用すれば脱税や横領などが可能になる為。
⑦処分は、産廃業者に依頼することになるので処理費用がかかる。産廃業者が正しく処理するまでが製造者責任。

一方、在庫がゼロで良いかというと、もちろんそんな都合の良い話はありません。商機を逃します。
なので、製造部、生産計画課などは、いかに安全在庫(最低在庫)を管理していくかが1つの腕の見せ所です。

営業サイドからすれば欠品が怖いので、十分な在庫を抱えて欲しいと望みます。
需要予測を多めに伝えて、在庫を持たせようとすることもあるでしょう。
(営業は営業の実状があるので、営業が悪い訳ではありません。これらは、営業関連の記事で別途。)

在庫の責任部署は、製造であったり、営業であったり、企業によって異なるようです。
「在庫の責任部署はどこの部署がなさっているんですか?」と聞くと、ちょっと知ってるアピールになるかも知れません?

さて、時間切れになってきたのでこの辺で。

次回の生産概要は、品質検査か決算システムへの計上のどちらかを書く予定です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする