実はブログというもの、自分でやるのは今回のサイトが初めてです。
今は色々と手探りで作っているので、これから少しずつ勉強し、過去の投稿も含めて表現は見直していきたいと思っています。
さて、生産業務概要の続きです。
前回の記事では、生産会議の結果、見込み生産の必要量が導き出され、各製造課にて製造日程(表)を作成し、製造日までに資材(原材料)の調達・準備が行われるところまで書きました。
製造の開始と言いたいところですが、その前に確認・準備作業があります。
工場にとっての第一優先、それは・・・、多すぎて、決められません。
が、「安全」が最優先グループに含まれることは間違いありません。(「安全第一」というコトバはよく使われます。実際には、同レベルの重要要素はいくつか存在します。)
製造現場では、自動化が進んでいます。
機械設備には多くの安全装置が組み込まれているものの、100%安全ということはありません。
高速回転しているローラーに巻き込まれたら、自動停止機能が作動したとしても無事にはすみません。
毒劇物に分類される化学薬品を使うこともあります。
それで接触による薬傷の危険もありますし、肺や皮膚から吸収されうる物質もあるので、その対策が必要です。
⇒いずれも各種の法規制が整備されていて、安全な環境作り、適切な資格者による取扱い規程、などは徹底されています。
安全の上にも安全を重ねるよう、安全保護具を身に着けます。
重い物を取扱う工場や倉庫では、そもそも鉄板入りの安全靴を履いています。(重い物を落としたときに備え)
製造ごとに身に着けるものとしては、必要に応じてゴーグルとか、羽織りとか、ゴム手袋とか、耐薬品性手袋とかです。
同時に、関係者全員で製造手順の確認を行います。指差し確認は基本です。
危険性がある工程(火傷、切創、薬傷、滑落、火災、爆発、等の恐れあり)や、生産失敗に繋がる要素、工程、兆候の監視方法(手順Xで60度以上になるのはおかしい、手順Yで10cm以上の個体が目視できるのはおかしい、手順Zで少量をサンプル取得し、計測した特性値が20以上は要注意、25以上はおかしい)などは、特に重要です。
事前の準備作業は続きます。これからやるべき手順の確認です。
製造手順の他に、製造指示書(作業指示書など、様々な表現あり。)というものがあります。
似た漢字で紛らわしいし、企業によっては1つに纏まっているケース、あるいはもっと細分化・階層化されていることもあると思います。
原理原則としては、「手順」と「指示」が持つ意味を押さえておきましょう。
製造手順はロット(今回の製造)に依存しない範囲、製造指示書はロットごと(今回は100個作る、今回は3トン造る、その為には~)の範囲を指します。
それが1つの書式に書かれていようと、分散して書かれていようと、それは些細な違いにすぎません。
製造指示書は、前回記事で少し触れたMRPⅡの一部です。
ここでは、もう少しだけ詳述します。
製造指示書を印刷するためのインプットは、前述の製造日程だけでは足りません。
実は製造日程というものは、5W1Hのうち、1つが含まれていません。
いつ (When) 製造日(製造開始日、製造終了日、容器充填日)
どこで (Where) 製造部課/係、製造設備
だれが (Who) 各担当者
なにを (What) 製品(品番)、数量、充填容器別の個数
なぜ (Why) 生産会議、生産計画による見込み生産、受注生産、
どのように(How) ←製造日程には含まれない
考えてみれば当たり前の事で、これは製造部門の人員が毎回考えるようなことではありません。
製造課が製造(量産)できる=設計開発部門、R&D部門が製品化に成功している=製法が存在する、ということです。
製法は企業の競争力であり、大小の研究開発コストを投じて得た結果です。(極めて機密性の高い情報です。その方面はセキュリティを主とした記事で書きます。)
製法そのものの話もまた別の機会(R&D関連の記事)で書くとして、大半の企業では、製法の一部に部品表/配合表と呼ばれる内容が含まれているはずです。ERPパッケージでは、BOM(Bill of materials)と呼ばれるのが一般的なので、以後はBOMと称します。
部品表/配合表、その漢字からも分かるように、製品に必要な資材(原材料)が設計されています。例えば、ある製品を1万個作るために、フェーズ1で部品Aを20万個、部品Bを5万個、部品Cを~、フェーズ2では、~、といった具合の必要量や、附帯説明などが定義されています。
製造日程として登録したWhat(何の品番をいくつ)、これにBOMを掛け合わせて(比例計算が基本)、今回の製造ロットに必要な資材を算出します。(繰り返しますが、MRPⅡの一部)
そのような背景(関係者の努力の結果)のもと、製造に入れる訳です。
製造設備には、多くの場合で制御系システムが組み込まれています。
制御系については、業務系SEが関与することは殆どなく、逆に制御系のエンジニアが業務系に関与してくることもほぼありません。
業務系SEは、制御系SEと打合せてシステム連携を実装することも多いので、製造設備の記事もどこかで書きたいと思います。
書く時間が無くなってきたので、今日はこの辺で。
次回の生産概要記事は、決算システムへの計上か、受注生産のお話が中心になるかと思っています。