ある日突然、社内の全サーバーが停止したら

ユーザー企業の皆様がもし読んで頂けていたら、全サーバーがダウンした時のことを想像してみてください。
メールやスケジューラー、ネットで調べ事は、スマホで代用できる部分もあります。

事業活動の中で、「このシステムにログイン出来なかったら大参事」というものがあると思います。

・出荷が出来ない
・生産が出来ない
・発注が出来ない
・支払が出来ない
・構内でモノを動かす事すら出来ない
・決算書の内容が保証出来なくなる
・どこのお客様を訪ねて良いか分からない
・お客様からの連絡を受けることが出来ない

まさに、仕事が回らない。
こういった対象こそ、基幹業務システムだと思います。

安定稼働して当たり前。
メインフレーム時代は自社内製で構築維持している企業も多かったものの、団塊の世代を始めとする元パイオニアたちは既に引退(2007年問題)したことで、核となる技術者が不足、あるいはいなくなったという企業は少なくないと思います。
やむを得ず、ERPパッケージに切替えたという企業もあるかと思います。

私はそれを見ていると、人材の空洞化に拍車をかけているように思えてなりません。
育成よりも、割高ででも外部に委託することを選ぶ。
これは、受け継いでいくべき種々のスキル、先人たちの経験を、ロストテクノロジーにしてしまう行為かも知れません。

高いお金を出せば高い品質のサービスを受けられる、そう信じている方に、警鐘を鳴らしたい。
この業界、高くて悪いソフトやサービス、人材は大量にいることを知ってほしい。
玉石混淆の中から、(100%成功は無理としても)選りすぐる目を養って欲しい。
即ち、実はとても細い糸で綱渡りをしていないかを懸念します。

自社にとって、守るべき、維持すべき知見とは何か、それを消滅させる行為を無自覚にも行っていないか、今一度考えて欲しい。

ユーザー部門からの生の声、これを吸い上げるルートはお持ちでしょうか。
吸い上げるだけのスキルを備えた人材を、維持できているでしょうか。

ITベンダー丸投げ方式から、システム内製化に舵を切ろうとしている企業も多いと聞きます。
歴史は繰り返す、これも必然の流れなのかも知れません。
ただ、内製化への転換に成功している企業は少ない、そういった記事もみます。
サーバーのデータとは違って、一度失った技術、人材は、一朝一夕にリカバリすることは出来ません。
ゼロから育てる必要があります。

然るべき立場の人たちは、「その頃には俺、定年でいないし」だなんて言ってないで、時間軸を加味したビジョンを持ちましょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする