皆さんは、自分の給料がどこから出ているか、考えたことはあるでしょうか。
何を言ってるんだと思われるかも知れませんが、こういった発想こそが視野の広がりに繋がっていきます。
ITベンダーであれば、お客様に請求する開発費用(請負であろうと、工数積上げであろうと)がまず思い浮かぶと思います。
では、そのお客様は、なぜその費用を払おうと思ったのでしょうか。社内の許可が得られたのでしょうか。
それ以上の効果を期待するからです。
その効果とは、何かのネットビジネスを立ち上げる為の支援かも知れません、工場や物流センターを稼働させる為の支援かも知れません、紙管理からの脱却・効率化かも知れません。
では、そのお客様の取組み、それらはどのような価値を生み出してくれるものでしょうか。
その価値、依頼してくれたお客様の部署単体が受益者となり、ひいては社益に繋がるものでしょうか、それとも他部門へも恩恵をもたらすものでしょうか。
金額に換算すると、いくらが見込まれるでしょうか。
他にも、お客様はその取組みで、システム以外にはどのようなコスト(金銭的、人的)が必要となるものでしょうか。
成功のための要因は、スケジュール感は・・。
SEが考える範囲じゃない、と思われるかも知れません。
何より、お客様はそこまで教えてくれない、どう考えても社外秘・部外秘だろうと思われるかも知れません。
その通り、教えてくれることなど稀でしょう。
聞いたら怒っちゃうお客様もいるかも知れません。
だから、整合性が保てるような仮説を、自分で組み上げていくのです。
仮説混じりででも、自分なりの全体図・鳥瞰図を胸の内に描いていくのです。
もし運よく、お客様が部分的にでも話してくれることがあれば、それは幸運に思うべきです。
自らの仮説の一部が、「このお客様の発言」というレベルの事実に置き換わります。
1人の発言や考えは、真実ではないかも知れません。なので、「このお客様の発言」。それ以上でもそれ以下でもなく、吸収します。
同じ内容を複数の人から聞けば、その情報確度は高くなるでしょう。
間違いない源泉であれば、それは確たる事実⇒今後検討する上での前提、として構成していいでしょう。
お客様1人の発言を、完全に真に受けてはいけません。(場合によって、言質を取る、記録に残す、といった行動も仕事としては必要でしょう。本記事では、スキルアップの視点で書いています。)
なぜなら、彼ら自身、真実は見えていない事が殆どだからです。
「~をやるべき」「~で当たり前(普通)」「~と命令された」などの思い。更には、上司と齟齬があることも少なくない。
彼らは、各人の知識と経験、立場によって、ベクトルがあるのです。
そんな相手に、上流工程のSEは、「こういう業務フローだと、もっと良いかもしれませんね、こんな効果もあるんじゃないでしょうか」「ひょっとして、本来は○○の形だと営業も製造も効率的になるかも知れませんね。今回を機に、計画してみませんか。」など、提案していくのも仕事です。
注意しなければいけないのは、相手のプライドを傷つけずに、相手の意欲が高まるような雰囲気を作りながら、質の高い提案をすることです。
それが出来る人材になることです。
もちろん難しいことですが、いつかきっとたどり着けます。
いま、ご自分の仕事で上記の考えを巡らせていくと、とても疲れますよね。(余裕!という人は、私なんかより随分先に行ってる方だと思います)
それは、「見えない」「知らない」世界がとても多いからです。
仮説の割合が高ければ高いだけ疲れますし、慣れない思考法(脳みその中で、日ごろ使っていない部分を働かせること)にも疲れます。
ちょっとずつやってみたり、「今から1分だけ超集中するぞ!」と気合入れて短時間だけやってみる。
疲れたらやめる。
その短時間の努力や意識の変化は、必ずあなたの中に積み上げられていきます。
社内SEでも、殆ど同じです。
お客様のところを、ユーザーに置き換えて考えます。
更に自社のことなので、対象業務の商流と物流がどのように流れ、最終消費者にどのような形で届くのか。
発想は多面的に広げることができます。
各画面では、ユーザー視点と同時に、ITエンジニアとしての視点で把握・認識していきます。(この一行だけでも、押さえるべきポイントがたくさんあります。脱線するので、また別の記事に記載します。)
如何でしょうか。
一つ一つは、当たり前のような話にも感じたのではないでしょうか。
しかし、実践できている人は非常に少ない。
私が出会ってきた幾人ものエンジニアさんたちは、表面的なスキル(発言が軽い)だったり、限定的な視点で大局観の少ない(本人は大きな視野で捉えていると思っている)人のほうが多かったように思います。
勿論優秀な人もいます。一方で、人月200万とか400万とか請求するような人なのに、残念な成果物を出す人も多くいます。
「あのとき、ちゃんと勉強していればよかった」
その「あのとき」が、今かも知れません。
好きな言葉:ゆっくりとでも、確実に前進